共闘戦線。

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「私が、赤面症?」 そんなこと、はじめて言われ、戸惑う。 「先生を見るといつも顔が赤くなって緊張してるんだよ!」 言葉を失った。 全てこいつは把握していたのだから。 確かに響谷先生の前だと突然緊張し体が熱くなる。特に顔が熱い。 まさか顔まで赤くなっていたとは。 額から頬にかけて汗が一滴流れた。 「テンパリ赤面症でコミュ障のお前が勝利する確率は低いだろ?」 確かに。 納得したくないが、こいつが言ってることはあっているのかもしれない。 「俺を利用しないか?」 「なんで?」 「だから、お前の力じゃ無理なんだって!」 「なんで協力しようとするの?」 「…え?」 キョトンとする星崎くん。その反応に私もとまどう。 「え、っと。」 考え込む。星崎君の目線がいろんなところに動く。 「…面白そうだから?」 考え込んだ結果、よく分からない答えが出た。この人、そもそも何も考えていなかったのかもしれない。 あの場の勢いで行っただけ? 「あと、不器用すぎて、見てらんないし。」 星崎君、私自身の短所と私の知らない短所まで知っていた。 第3者から見る私って一体どうなんだろう。 やっぱり私一人じゃ響谷先生に近づけないのだろうか。 彼の協力や意見は聞いても損はないのだろうか。 「あと俺、結構先生と仲良い方だよ?」 「星崎君を、利用します。」 「うわ、即答かよ。わかりやすい。」 響谷先生に近づくために、先生と仲の良い星崎君の協力はやっぱり必要かも。 うん、そうかもしれない。 それに異性の好みや価値観もしりたい。 「もし、言いふらすことがあったら、その時は殺すから。」 「ぶ、物騒な事言うなよ、絶対言わないから。」 星崎君の事、少しだけ信用しようと思う。 「とりあえず、どいてくんない?」 そうだった。私はまだ星崎君に馬乗りになっていたのだ。だが彼もまだ私の両手を掴んだまま。 「手を離してくれないと、どけれない。」 「え!あ!!!ごめん!!」 すぐに両手を解放されたので、星崎君から退き、ベットの端に座った。 星崎君もゆっくりと私の隣に腰掛ける。 「じゃあ、今から俺は水無瀬さんの協力者って事ね。オーケー?」 「う、うん。」 「ターゲットは響谷先生。共闘線戦開始だ!」 わぁ。大げさな。その明るい陽気なノリについていけなかった。 「だから、そんな顔するなって。」 「え?何の事。」 「言葉に出してないが、顔には全部出てるんだよ。今、引きつったドン引き顔してたぞ。」 両手を顔にやる。近い事は考えてたのがバレてる。 この人、油断できない。 「とりあえず、教室戻ろう。俺席隣だがら、先生に様子見に行ってこいって言われたんだ。調子が良かったら連れて戻れってさ。」 「そう、じゃあ戻ろう。」 鼻血が止まっているのを確認し、保健室を出て教室に向った。
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