共闘戦線。

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昼休みが始まる時、響谷先生が教室に入ってきた。 「ああ、水無瀬。お前大丈夫か?」 ひい!! 声が出そうだったが、必死にこらえた。 正装した響谷先生を再び目の前にする。 やっぱりかっこいい。 朝見たスーツ姿ではなく、ポロシャツとサンダルが変わっていた。 しかしそれでもかっこいい。 朝よりゆるく崩れたポニーテールもさらに良い。 とにかく、かっこいい。 「はっはい!!!」 すこし裏返った声が出た。 「これからは体調悪かったら近くにいる先生を頼れよ。」 「はい…。でも、本当に、大丈夫です…ので。」 体温がいつも以上に上がる。 今日の響谷先生はいつもと違うから、また緊張する。 「そうか。だが無理するなよ。じゃあな。」 私の体調を確認後、教室を出て行った。 優しいな。すごく嬉しい。 カシャ 隣からシャッター音が聞こえた。 隣を見ると、星崎君がスマホを私に向けていた。 「ほれ、見てみ?」 撮った写真を見せてきた。 そこにはぎこちない表情で赤面してる私が写っていた。 「うわ…。何、これ。」 かっこ悪い自分を見て、絶望する。 まさか私この顔で響谷先生と会話していたのだろうか。 「先生と話す時、いつもこんな顔してるよ。」 信じられない。 こんなひどい顔をいつも響谷先生に晒し出していただなんて。 開いた口がふさがらない。 さらに穴があったら入りたい。 もう一つ叶うのなら、そのまま生き埋めにしてください。 「落ち込むなって。あ、スマホ出して。」 「う、うん。どうして?」 カバンからスマホを出して、星崎君に渡した。そのまま星崎君は右手に彼のスマホ、左手に私のスマホを操作し始めた。器用だな。 「はい。」 「うん。」 数秒で返された。 「じゃあ、私もう行くから。」 お弁当とタンブラーをカバンから出し、教室を出た。
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