水無瀬せれなはわかりやすい。

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火曜日。 1限目は俺が苦手な数学の授業だ。 担任の響谷明日嘉先生が数学教師だ。 火曜日はホームルーム後すぐに授業が始まる。響谷先生は今年30歳になるっていってたな。 もっと歳いってると思ってた。 教師だが、髪も長く、ひげの長さもムラがある。 服もラフな格好が多く、サンダルを履いている。 この先生、少し自由すぎないか。 それにたまに目の下のクマが濃い。 老け顔がさらに増す。 長身でやせ型であまり清潔感がない。 見た目は悪く冷徹そうと思っていたが、結構いい先生だと今は思う。 話もちゃんと生徒一人ひとりあわせて聞いてくれるし、利き手上手で話しやすい。 授業中ふいに時計を見た。 もう40分もたってたのか。 横目で隣をみる。 横にいるこいつはいつも通り今日も朝電車で同じ車両であった。 もちろん赤面で。 今日は1限目だが寝てなかった。 むしろ真面目に授業を受けていた。 昨日やっぱり響谷先生に怒られたんだな。 そういえば、いつも月曜日の1限のギ授業は寝てるな。前日にでも夜更かししてるのだろうか。 授業が終わる5分前。 「じゃあ最後に週明けの小テストをかえします。さー、出席番号順できてください。」 昨日やったな。 今回難しく感じた。 響谷先生は作業のように生徒一人ひとりに一言添えて小テストを返す。 すぐに俺の番が来た。 「先生、俺数学苦手だけど、がんばったよ。」 「頑張ったな。星崎なら、次も頑張れるな。先生は期待してるぞ。」 さっと小テストを渡し、俺の後ろの生徒にももすぐにわたした。 うーん68点か、高くないな。 点数をじーとにらめっこしながら席に着いた。隣のこいつも小テストを返されていた。 こいつ点数が気になった。 前回のテストで数学の補習を一緒に受けたことがある。 きっと俺と同じか俺以下の点数だと思った。今小テストのネタは自然な会話の流れだろ? 「ねー、水無瀬さん。今回のテストむずくなかった?俺、68点だったよー、ははは。水瀬さんは難点だった?」 「ええ!!?わ、わたし!!???」 顔が赤かった。 こいつはいつも私と話すときは赤面する。俺のことが好きなの、バレバレだぞ。 笑いそうだ。 耐えろ、俺!
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