犬の隠し事

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犬とは。 何故こんなにも真っすぐに、熱烈に、一途に僕を愛するのだろうか。僕は何故不動の信頼を犬に向けるのだろうか。 とある記事を読みながら僕は思た。 犬が僕の頭の近くで寝るのは、なにかあった場合に自分が僕を守らねばと思っていると。 犬は緊急時、その身を挺して僕を守るだろうと疑わない。僕はどうだろう、もちろん火災 地震津波侵略が来たとしても犬を守る。共に生き延びる道を僕は探す。 僕達は強固な絆で繋がっているからそれが可能なんだ。 そんな人智を超えた信頼で結ばれた僕の犬の隠し事。 事件は起きる。そう、週2回やってくる可燃ごみの日。僕は朝ゴミを出しに行く。犬は決まって玄関先までやって来て共に行ってもいいかと僕に期待の眼差しを向ける。 トイレも風呂も冷蔵庫を開けるだけでも、とにかく僕が立ち上がれば犬もたちあがり僕の後ろを守り続ける。 僕のどんな秘密だって知ってる犬の異変を僕は見逃さない。ある朝、ゴミを出し終えた僕はいつものように玄関で待つ犬の頭をひと撫でし靴を脱ぐ。その時だ、ケポッとゲップをした!聞き逃しはしない。ゲップをしたのだ。 僕は考える。 犬は僕が夜、ベッドに入ってようやく食事をする。朝入れた山盛りのドッグフードは夜まで決まって手つかず。 そして食後犬は決まってケポッとゲップをする。 食べたよ、撫でて、お腹いっぱい幸せ、撫でて、カツカツ足踏みしながらすり寄ってきてケポッ。毎晩の事。 僕はケージの中の餌入れを見る。 減っていない。まったく減っていない。何を食べたんだ、そんな問の眼差しで犬を見る。 犬は相変わらず僕に見られるだけで嬉しさが溢れ短いシッポをカチカチと振る。 僕の犬が餌以外のものを勝手に食べるはずもない。僕はそう思い直す、ただのゲップだと。 火曜、ゴミ出し後、撫でられながらケポッ。金曜、ゴミ出し後ケポッ。火曜もケポッ。やはりオカシイと僕は冷静に思う。 僕の不在はわずか2分程度だぞ、この短時間にいったい何が起きている。そして火曜。
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