宝剣の行方

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 その答えを聞き、お人好しのビルは満足そうに頷いた。 「わかった。頭のいいお前が言うのだから、多分それが最良の選択だろう」  僕は心の中でほくそ笑んだ。こいつもあの灼熱砂漠で散った2人のお人好しのカップル魔導士と同じだ。水がなくなって仲間が干からびそうだからと、他人などのために禁術に近い術を使って自分の身を亡ぼすという、意味の分からない正義漢を持つ輩。  おかげで、僕のような頭の良い人間がいつも美味しい思いができるのだからありがたい。きっとこのような連中は、僕のような人間が生き延びるために、あえて神様が作った人形か何かなのだろう。  ビルの奴は、そんな僕の胸中など知らない様子で微笑みかけてきた。僕もまた微笑み返す。こう見えても僕はポーカーフェイスには自信がある。百戦錬磨の商人や占い師でさえ、そう簡単に僕の心の内は見破れないだろう。
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