宝剣の行方

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 僕とビルは拳を握ると互いに軽く合わせた。これは交渉成立の印…。  賢い僕は安全な役。そしてお人好しなお前は凶悪な魔王と戦い…刺し違えるだろう。そうして僕は生き残った唯一の英雄として、国王の1人娘と結婚し、国王の後継者として収まる。  そう、英雄は1人いればいいのだ。  僕とビルは岩をよじ登った。そして僕は聖剣グラディウスを、そしてビルの奴は魔剣グラムの柄をしっかりと握った。  そして2人は目配せをする。行くぞ、2人同時に引き抜く。  両手で力いっぱい剣を引き抜くと、岩に少しずつ亀裂が走り出した。地響きにも似た衝撃を靴裏から感じ、僕は剣を引き抜いた。  すると、岩の中からは太陽の光と見間違うほどの刀身が姿を見せた。岩も音を立てて2つに割れ、僕は震える手で、その美しい姿を眺めていた。 ――これが聖剣グラディウス…!
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