『罰として、本当のことを一つだけ言おうか』

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 冷蔵庫の中で冷やしていた濡れたタオルを瞼におき一息ついた。  目の奥にじわりと広がる疲労が和らぎ、痛みをともなった熱さが引いていく。  気持ちが良い。  しかし、仕事は依然とそこに存在したままだ。 「これはこれで退屈だ。仕事しねぇと」 「いやいや、休憩しようよ。あー、そうだ。しりとりでもするか?知ってる?しりとり」 「あぁ、言葉遊びだろ?しりとり、リス、スルメ、目玉と続くあれか?」 「あれ?しりとり、リンゴ、ゴリラ、ラッパじゃない?まぁ、良いや」 「たしか『ん』が、駄目だったっけ?」 「そう。ん、を言ったら負け」 「ぉぉ、そうか」 「負けたらそうだな。罰として、本当のことを一つだけ言おうか」 「本当のこと?」 「そう。負けた方が一つだけ、秘密を打ち明けるんだ。嘘偽りなくね」 「ありがちだ」 「悪い?」  それよりも、さっさとデスクまで戻してくれ。
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