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次の週末もいつもの図書館へと向かった。
「隣、いいですか?」
「!?」
振り返ると…また前の人だった。席は他にも空いているのに、どうして?
「どんな本が好きなんですか?」
「…」
そんな事を聞いてどうするつもりなんだろう?
どうしていいか分からずに、またその場から逃げ出そうとすると…
「ちょっと、待って下さい!」
とその人は立ち上がり、私の後を着いてくる。
…え?何で着いてくるの?誰も私なんかに興味なんてないのに。
足早に廊下を過ぎ、図書館の外に出た時に
「ちょっと待って!」
と突然ギュッと腕を掴まれる。
「!?」
「いつも寂しそうに本読んでるから、どうしたのかなって思って。」
彼はそう言うと、掴んでいた手をパッと離した。
「…別に寂しくなんかありません。」
「じゃあ何であんなに悲しそうな涙を流しているんですか?」
…え?悲しい?
「色々聞いてしまってすみません。びっくりしましたよね?」
「俺は啓介。また来週会いましょう。」
ふわっと風が舞い、木々を揺らす。
私は何も感じない腕を胸の前で握り締め、立ちすくんでしまった。彼の背中をずっと見つめながら。
——これから私たちは関わり合っていく。
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