ない?

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ない?

話を聞くと、どうやら未来から来たわけではないようで突然前世の記憶を思い出したそう。 「よし、見つけた。あれだわ。」 探査機も無事見つかり、このステーションと結合することに。 1度目の人生において僕は、探査機を2つあるうちの壊れた方を選び失敗したようだ。 そしてこのステーションは宇宙を漂いながら2人は窒息死したらしい。 最後の方は言葉を濁していたから、それだけ悲しかったのかもしれない。 「そうだ、操縦は君のままがいいよね?…僕は探査機へ渡って連絡してくる。」 「ええ、お願い。」 結合作業は操縦の腕がいる。苦戦しながら何とか接続すると探査機への扉が開く。 「開いた、燃料の供給もしておいて。」 「もちろんよ!…やった…できた。これで地球に帰れる。」 彼女が操作している間に、探査機の中に入り通信器を探す。 「これだ………」 数分後、ステーションに戻ると彼女が嬉しそうに駆け寄るようにこちらへ向かって来て微笑んでくれた。 「おかえり!私たち帰れるわよ。」 ずいぶん久しぶりの笑みだ。 「ああ、帰るよ故郷にね。もうすぐ迎えが来る、ミッションは成功だ。」 「……え…なに。ミッションって?」 「君は帰ったら休養するといい、心に負担がかかりすぎたんだ。操縦は代わるから…」 戸惑う彼女を落ち着かせるように座らせると、ゆっくり話はじめた。 「君と僕はスパイとして潜入しこのステーションを奪うミッションを受けていた。君が本格的に可笑しくなったのは、自分たち以外の人間が乗る施設を切り離した時だ…」 僕らは他人じゃないことと、彼女がこのステーションの人々に情が湧き心が折れたのだと説明した。 彼女が嫌がったから出来るかぎり死なないように多数は火星方面へ切り離した。 運が良ければ探査機に見つけられると思う。 それくらいしか出来ない。 僕らは…こうしなきゃ生きて行けない。 1度目の覚えがあるっていうのは恐らくシミュレーションで練習した事と望む夢がごちゃ混ぜになったもの。 「わ、私は。…私はどうすれば…?」 まだ混乱しているようだけど、仕方ない。 「説明しちゃったけど、記憶が嫌ならこのまま思い出さなくてもいいんじゃない?元の国に戻ってゆっくり過ごせばいい。上には上手いこと言っておくから。」 「待って…あなたはどうなるの?……………ねぇ、隠してること、ない?」 彼女は僕の袖を掴んで不安そうな顔をした。 君には絶対言わないよ。 「…ないよ。」 そっと手を重ねて一言呟いた。 僕らはスパイを通して出会ったから、だから夫婦になってることもきっと忘れてる。 それでいいよ、また君がさっきみたいに笑ってくれるなら。 君の笑顔を守れるのなら。 end.
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