ねぇ、

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ねぇ、

「隠してること、ない?」 「何の話…ないわ。それより早く行かなきゃ間に合わない。」 横で機械を必死で操作する彼女。 鬱陶(うっとう)しそうにこちらを見ず、手を動かしたまま答えて急かされた。 何をしているかって? 僕たちがしているのは不具合の起きた機械の修復さ。 今時、ドローンがやってくれるのだがこの施設には無かった。 ここは、火星と木星を結ぶ星間ステーションの1つだ。 先月新しいものが出来て、お役御免となり火星宇宙ステーションまで帰るはずだったのだが… 何故か軌道は木星宇宙ステーションへ向かっているようで。 さっきから緊急サイレンがピーピー耳に痛い。 「よし、開いた。何してるの?さっさとここ出て操縦席まで行かなきゃ。」 開かなかった扉を開けて出ていく彼女の後ろをついて行く。 額には互いに汗が(にじ)んでいる。 「分かってるよっと。…これも忘れてない?お、じょ、う、さん。」 当たりがきついので手にした電子地図を振り、嫌みを言ったが年下に向かって器が小さかったかもとすぐ後悔した。 「なら、ちゃんと案内してくれます?ほら、先行ってね先輩。」 どうやら彼女に遠慮は要らないようだ。 ため息を吐きながら、いや一緒に行こうと言った。 実は僕は目覚めて間もない。 というのも、この星間ステーションでは勤務時間があって3交代制で仮眠をしていたのだが、起きるとサイレンの音がうるさく慌てて廊下に出た所で彼女と出会ったのだ。 本来20人くらいで操作しているこのステーションで、何故か僕ら2人だけだった。 彼女は先に起きていた人のようで、途中でサイレンが鳴って慌てて修復しているのだそうだ。 それを手伝ってはいるけれど…他の人はどこへ?彼女に聞いた、みんな消えてたって言葉を鵜呑みには出来ない。 そりゃ疑問に思うだろう? 2手に分かれて作業しようとするのを避けているようだし、色々と気になることがある。 だからこそ隠してることないか聞いたのだが…上手くいかない。
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