妨害

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妨害

私はありとあらゆる手を使って、小僧が美咲へ接近するのを妨げた。 その全てを微に入り細にわたって記しても構わないのだが、やめておく。 面白くないからだ。 私の妨害工作は全て失敗に終わった。 どのような手段を用いても――他の女性から伸びる朱色のラインを小僧に絡めてみても――あの二人を結ぶ朱のラインは太く濃くなる一方で、決して途切れることがなかったのだ。 明日はもう、結婚式の当日である。 挙式を妨げるには、式場を爆破するぐらいしか方法がない。 さすがの私でも、それはちょっと躊躇いを感じるところだ。 かわいい美咲の泣き顔は見たくない。 ずっと笑顔でいて欲しいのだ。 だから明日は式に参列して、孫娘の美しい花嫁姿を見ることにした。
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