妨害

3/3
前へ
/10ページ
次へ
目の前に天使が舞い降りたかと思った。 白のウェディングドレスに身を包まれた私の孫娘は、さほどに美しかった。 「地上に降りた最後の天使(エンジェル)、だな」 私の賛辞に、美咲はうっすらと頬を朱に染めた。 天使の美しさにさらに磨きがかかる。 目の前に、女神が降臨した。 あまりに眩くて、思わず面を伏せる。 フェイスシールドに朱い綱が映った。 美咲から伸びる朱のラインは数々の妨害に打ち勝って、太く濃くなっている。 今では伝説の朱い綱のように頑丈で、見るからに揺るぎない。 どうやら年貢の納め時である。 私もつまらない妨害工作をあきらめて、二人を祝福するしかないようだ。 もはやカッターで切れるほど、弱い結びつきではなくなっているのだから。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加