祝福(いわい)

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祝福(いわい)

祝福の拍手が作弥と美咲、若い二人を包み込む。 神父様の前で誓いの言葉を述べ、指輪の交換を行う。 そして互いのフェイスシールドを上げて、口づけを交わす。 そのとき私は見てしまった。 新婦が神社のしめ縄ほども太くなった朱い綱を、新郎の首に巻きつけている。 美咲はちらりとこちらを見て、ウィンクをしてみせた。 オルガンの音とともに、二人がバージンロードを通る。 薬指には結婚指輪(マリッジリング)。 新郎の首には朱い綱の首輪が巻かれ、リードの端は美咲の手に握られている。 私は祖父として、孫娘のつかんだ幸せに、心からの拍手を送った。
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