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 夜診もやっている外科病院に駆け込んで、涼音が受付を済ませたあと。  雪音を両側から支えるように、三人は待合室のベンチに腰掛ける。  待つまでもなく呼ばれて診察室に入ると、まだ若い担当医は治療しながら安心させる意図もあるのか優しく話し出した。 「傷自体はそんなに深くないですよ。頭部はちょっとした傷でも出血が凄いからびっくりされましたよね。少し痕が残るかもしれませんがよく見ないとわからないくらいだと思いますし、額だから前髪で隠せますから」 「そうなんですね。ありがとうございます」  義母が安堵の溜息を吐くのに、航大も同じ想いだった。 「……それよりも、椅子から落ちて頭を打ったのならその方が心配です」  いろいろ検査もしたあとで、とりあえず雪音は帰宅を許された。 「二十四時間は注意して見てあげて、頭痛や吐き気があったら夜中でも迷わず来てください。まずは電話を。遠慮は要りませんから!」  担当医にそれだけは! と念押しされて、礼を述べて病院を出る。  実際に傷の痛みは大したことがないらしく、雪音は診察の途中からけろりとしていた。  ただ、額から後頭部にぐるりと巻かれた包帯が痛々しい。  ──よかった、雪ちゃんがとりあえず無事で。でも、まだ安心できない、んだよね?  家に帰ると、義母はとりあえず雪音の血で汚れた服を脱がせて、濡れタオルで顔や体を拭いてやっていた。  今日は入浴はしないよう指示されたのだ。
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