本編

2/6
前へ
/8ページ
次へ
「警察は当てにならへん。お姉ちゃん、一緒に探して」 「そやけど、こういう時はお巡りさんが一番やで。ワタシなんかよりも頼りになるし」 少女は、さらに強く首を振った。 困った。なんでこんな事に巻き込まれるの。吐きたい溜息を我慢した。 しかし、見ず知らずの子供を放っておく訳にはいかへん。やけど、見ず知らずの母親を探すのも、面倒。 ここは一か八か、偶然を装って交番に少女を届けようと思った。 ワタシは、少女の手を引きながら歩き始めた。 会話のないワタシ達。こっちから何か話した方が良いかもしれへんけど、イマイチ話題が思い浮かばない。しかし、黙っていることも辛い。 少女を見下ろす。 少女は、真っ直ぐ前を向いたまま、ワタシの手を強く握る。 怖いのかな? そうや。こんな雰囲気だけど、中身は幼い子供や。 「大丈夫よ」 少女は何も言わない。頷くことすらしない。 「名前、なんて言うの?」 「マナ」 「マナちゃんか。可愛い名前だね」 また黙った。 「お母さんとは、どこで逸れたん?」 ワタシの問いかけに、マナちゃんは何も答えない。 ほんまに困った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加