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「警察は当てにならへん。お姉ちゃん、一緒に探して」
「そやけど、こういう時はお巡りさんが一番やで。ワタシなんかよりも頼りになるし」
少女は、さらに強く首を振った。
困った。なんでこんな事に巻き込まれるの。吐きたい溜息を我慢した。
しかし、見ず知らずの子供を放っておく訳にはいかへん。やけど、見ず知らずの母親を探すのも、面倒。
ここは一か八か、偶然を装って交番に少女を届けようと思った。
ワタシは、少女の手を引きながら歩き始めた。
会話のないワタシ達。こっちから何か話した方が良いかもしれへんけど、イマイチ話題が思い浮かばない。しかし、黙っていることも辛い。
少女を見下ろす。
少女は、真っ直ぐ前を向いたまま、ワタシの手を強く握る。
怖いのかな?
そうや。こんな雰囲気だけど、中身は幼い子供や。
「大丈夫よ」
少女は何も言わない。頷くことすらしない。
「名前、なんて言うの?」
「マナ」
「マナちゃんか。可愛い名前だね」
また黙った。
「お母さんとは、どこで逸れたん?」
ワタシの問いかけに、マナちゃんは何も答えない。
ほんまに困った。
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