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いつの間にか震え始めた自分の手。その手を少女は、しっかりと掴んで離してくれへんかった。
交番の前。偶然か必然か、お巡りさんが二人私達の前にやって来た。
「どうかしましたか?」
「この人、人殺し」
突然に、少女はワタシに指差して、甲高い大声で言い放った。
「だから、ワタシは何もーー」
その瞬間、強い衝撃が体を襲った。
いつの間にか、お巡りさんがワタシの腕を掴んでた。
「とりあえず、中で、話しましょ」
口角が上がっているが、目は笑っていない。ワタシは、その出来事が今でも脳裏に映る。
ワタシは今、冷たいコンクリートの床の上に座りながら、懺悔を繰り返した。
『悪くない。ワタシは悪くない。ワタシは、何もしてへん』
ずっと、自分を守る声を唱え続けていた。
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