もう大丈夫

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律月side 苦しい あの日の出来事が鮮明に思い出させる 『咲坂靖幸』 僕の、ご主人様だった人 嫌だった 苦しかった そしてまた思いだす 僕を、愛してくれた優しい女の人の事を 「…つき君!…律月君!」 薫の声。 「大丈夫。もう大丈夫だよ。」 あの時と変わらない、優しい声 「ハヒュッ…ゲホッ、ゴホッ…か、お…」 「大丈夫、大丈夫。」 だんだんと落ち着いてきた。 「ハァ……ハァ…」 やっと落ち着けば僕は薫にしがみついていた。 周りを見ると叶もいる。 神崎先輩に蒼汰。そして心配そうに僕を見る何故か息が切れてる書記。 もしかしたら彼がここまで連れてきたのかもしれない。 「落ち着いた?」 「……ん」 頭を撫でてくれる薫。 あぁ、あの人もこうやってやさしく撫でてくれた。 「ちょっと何があったのか聞いてくるわ」 ダッシュで蒼汰は多分生徒会室へ向かった。 「あ、じゃぁ私も話したい事があるので行きますね。薫、律月様をよろしくお願いします。」 「はい。勿論。」 「俺も行くか…。おい、お前も行くだろ」 神崎先輩は書記に声をかけた。書記も頷き、叶の後を追って行った。 「律月君、何があったか話せる?」 「…ん。…咲坂、君の父親の…名前、きい、て……きもちわる、いの…おもい、だした。全部、……過去の事……全部…」 「…っ」
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