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「失礼しまぁーす♪稜ちゃんいますかぁ?」
ガラッと扉をひき、藤谷先生の机を見る。
すると社会史のおっとり教師、笹塚 瑞樹先生がニコッとして
「稜なら、仮眠室にいるよ。雪峰君。起こしてこようか?」
笹塚先生と藤谷先生は幼馴染。
かなり仲が良いと有名だ。
「いや、いいよぉ〜♪書類持ってきただけだから♪」
「じゃぁ、僕が渡しておくから、雪峰君は早く教室に行っておいで。ここから離れてるし急がないと。ね。」
ほんわかしている笹塚先生。
俺が持っていた書類を取り、「2限目頑張ろうね」と言い、お礼言う前に仮眠室に行ってしまった。
「みーちゃん、ありがとー♪失礼しましたぁー」
聞こえたかわからないけど、言わないのは失礼だから。
いやぁ、笹塚先生和むわぁ。一家に一人欲しいくらいの人。
おかげで副会長へのイライラも治まり、教室へ向かった。
教室に入ると雑談していたクラスメイトが歓声を上げる。いつもならそれに手を振って挨拶して席について本読んで先生を待ってるんだけど…
「おはよう!律月君!今日遅かったね?駄目だよ!遅刻は!8時半には着席しないと!」
朝からお花畑君がやってきた。
これが聞こえたのか、俺の親衛隊の子が咲坂くんに
「咲坂くん。雪峰様は、朝も生徒会の仕事をしてるんだよ。だから生徒会は遅れても大丈夫なんだ。あと風紀委員もね。」
「そうなの?でも、巽先輩達は今日の朝の分はもう皆、終わらせてあるって言ってたよ?…は!もしかして、律月君、寝坊したの?本当は寝坊したけど格好悪いから仕事したって嘘ついたんでしょ!!駄目だよ嘘ついたら!僕に謝ってよ!」
「…雪峰様…そう、なんですか…?」
クラスメイトがざわついていく。
庇ってくれた子はオロオロして、困っている。
俺も困ってるよ。
なんで咲坂くんの言ったことは本当みたいな空気になるのかな。
あと、何故咲坂くんに謝らないといけない。
チラッと戌井君の方を見るとキッと睨んでた。
怖くないけど。
周りは戌井君が俺を睨んでるのを見て
「本当なのかな」
「僕達に嘘ついてたの?」
「ヤりすぎて疲れて寝坊とかやばいだろ」
最後酷いぞ。
本当、胸が痛いわ。
「寝坊なんてしないよぉ〜♪まぁ誤解させちゃってごめんねぇ〜」
すっごい反省の色がない。
実際、謝ることなんてないんだけどね。
「んー…。ま、謝ったから許すよ!そうだ!今日こそお昼一緒に食べるからね!絶対だよ!約束!」
ご遠慮します。
と言っても無駄だろうが。
昼飯食べない派というか食べれないんだよね。吐いちゃうから食べないんだけど。
食べないとだめ!とかほざくだろうから、どーしよ。
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