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「僕、オムライス食べたい!すごく美味しそう!」
目をキラキラさせてワクワクしている咲坂くん。
早咲君は、そんな咲坂くんをみてニコニコしている。
「俺はA定食にするよ。狼君は?」
「…俺も同じで。」
この二人、恋敵?だけど割と仲が良いみたい。どうでもいいけど。
飯かぁ…水じゃ駄目かなぁ。流石に変に思われるか。
よく分からないけど、ご飯食べることができないんだよね。味覚もないからかな。最近は、まぁ、リハビリして俺専用に作られた物は食べる事ができるようになったけど。
でも、まだ普通の食事はできない。
食べ物見るだけで吐き気もするし、酷くて倒れるからね。……嫌だなぁ
「律月君は僕が決めるね!さっき、食べない派って言ったのは何を食べたいか分からなかったからだよね!僕は何でも分かるから!遠慮しないで!」
驚いた。チャラ男なんて忘れて黙ってしまった。
それをまた咲坂くんは勘違いし、
「ほら!僕の言うとおりじゃない。じゃぁ…かつ丼の!美味しそうだから、これにしよう!特盛りで!」
「え…ちょ…」
今の状況を理解するのに時間がかかり、さっさと咲坂くんは注文してしまった。
かつ丼…?特盛り?無理だろ。一番最悪な奴じゃん。
あって少ししか経ってないのに俺のこと分かるわけないし…
「咲坂くん?…さ、さすがにぃ〜。特盛りはぁ、きついかなぁ〜。注文取消してもらえたら嬉しいんだけどぉ…」
顔が引きつらないよう気を付けて、ニコニコして優しく言う。まぁ、聞いてもらえないんだろうけど。
「おい会計。せっかく遥が注文してくれたのになんだその反応は。感謝しろよ。」
「遥の優しさを踏みにじるなんて。ひどいね。」
取り巻き二人にボロクソ言われるよ。
それを咲坂くんは涙目になって
「二人ともありがとう。でも、僕も、勝手に決めちゃったのが悪いんだ。僕はただ、律月君が嘘をついたから駄目だよって教えたかったんだけど…。まだ伝わらなかっただけなんだ。可哀想だけど律月君は悪くない。二人とも怒らないであげて。」
すごく不愉快なんだけど。
2人とも「優しい」「遥に免じて許してやる」とかほざいてさ。
余計に食べる気失せたよ。
少しして、A定食とオムライス、かつ丼(特盛り)がきた。
いやぁ、見るだけで吐き気がするわ。料理長には本当に申し訳ないけど。
さっきから心臓バクバクしてきたし
如何なるんだろう…俺は…
意を決して、食べようと箸を持ちご飯をすくった。
あとは口に入れて噛んで飲み込むだけ。その行動を何回か続ければいい。
そう思っても、無理なものは無理だ。
身体は正直で拒絶反応を起こしてきた。
手が震えるんだ。
手が震えて、呼吸がしにくくなる。気付けば箸は床に落ちていて…
目の前が暗くなった。
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