5月

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浦方sid 私は律月様の専属執事、浦方 叶(うらかた かなえ)。桜花学園の食堂のウェイターとしても働いている。 学園の食堂は忙しく、律月様が食堂に来ているとは知らなかった。 そんな時に、役員の生徒がと無線が入った。 急いで駆けつけると、食堂に来るはずのない律月様が倒れていたのだ。 同僚によると、呼び出しがあった為行ったところ、律月様は既に倒れており、共にいた生徒は一人の生徒を宥めていたという。 そしてウェイターが来たとわかったら、さっさと帰っていったとのこと。 それを聞いて腹が立ったが、直ぐ薫に連絡し、異常に軽い律月様を抱き上げ(お姫様抱っこ)、律月様専用の医務室へ役員専用通路で向かった。 このまま一般生徒の前を過ぎれば煩くなるから。 律月様は苦しそうに呼吸し、魘されている。 2年前まで、律月様は過去のトラウマで食事を摂ることができず、ほぼ薬で補ってきた。旦那様は律月様と共にいつかは食事をしたい、そういう思いで味覚のない律月様も食べる事ができる料理を、旦那様と総料理長と共に考えてきた。 律月様も旦那様の思いを知り、頑張ってきた。 そして、量は少なくても、まだ薬を飲まないといけないが、皆と旦那様と食事をする事ができるようになったのだ。 ようやく叶えることができたのに、今、それが崩れようとしている。 律月様を信じてないという訳ではない。だが、万が一また食べれなくなったら、今までの律月様の努力を思うとやるせないのだ。
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