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律月side
目が覚めると、見慣れてるカーテンに消毒液の匂い。
窓からみえる空はオレンジ色に染まっていて、長い時間眠っていた事を知った。
「おはようございます。身体はどうですか?」
叶が頭を撫でながら聞いてきた。
ずっと側にいたのだろう。父の次に過保護だから。いや、同じくらいか。
「…大丈夫。楽に、なったよ。ちょっと息…しずらい…けど。」
「律月様。それは楽になったとは言えませんよ。」
ずっと優しく撫でてくれる。
「…かな、え…落ち着い、たら、仕事して‥いい?」
途切れ途切れだが、これは大事な事。
答えは分かっているはずなのに聞いてしまう。
「駄目です。今日と明日は安静にして下さい。気になるのは承知ですが、身体が元気じゃないと元も子もありませんよ。」
ほらね。まぁ、俺もこの状態で仕事はできないと思ってたけど。
叶なら、彼らに連絡はしているだろう。
心配なのはあの頭がお花畑の咲坂くんが余計な事をしないかどうか。
俺が倒れて意識がまだあったとき咲坂くんがはなった言葉。
「なんで、演技なんてするの?酷いよ…」
この後意識が途絶えたからどうなったのか分からなかったけど、あれが演技に見えた彼なら…
よそう。
今は療養だ。2日後が心配だが、その時はその時でまた考えればいい。
医務室で少し休んだ後、叶に支えてもらいながら車まで行き、寮へ帰った。
そして叶は2日間、看病してくれた。
食事は心配だったが、大丈夫だった。今までのリハビリが功を奏したのかもしれない。
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