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転校生side
転入する1週間前
「ハル、2年生からになるが桜花学園に通わないか?」
夕食時、お父さんがそう言ってきた。
「学園…?行ってもいいの!?」
僕は身体が弱くて、家から出ることができなかった。
だから学園に行くことが夢だったんだ。
もう行けないと思っていた。
それが今叶うかもしれない。
「あぁ。今まで寂しい思いをさせてしまっただろうから。もう身体も大丈夫そうだし、勿論、無理は禁物だが。『桜花学園』という男子校で、全寮制だから医療もちゃんとしている学園があるんだ。私の従兄弟の和之が理事をしている。ハルも知ってるだろ?
離れて暮らすのは心配だが…どうだろうか。」
あの優しい和之伯父さん!
初めて通う学園が男子校。でも和之伯父さんの学園なら行ってみたい!
「お父さん、僕、桜花学園に行きたいです!行かせてください!!」
お父さんは僕の勢いに少しびっくりしたけど、笑ってくれて
「分かった。そこまで行きたかったんだな。実はな、ハル。もう編入試験は終わってるから、合格してるんだよ。行くのは1週間後だ。頑張れ!」
僕は何を言ってるのか分からなかった。編入試験?
編入試験なんて受けてないんだもん。
「お父さん、僕、いつ試験受けたの?」
「ん?前、家庭教師にテスト受けただろ?あれだよ。」
「え?!あれ、割と簡単だったよ?!」
「さすがだな。私もハルのテスト結果を見た時は驚いたよ。学年で2位だそうだ。あの学園、偏差値が高い学園だから、とても嬉しかった。」
「2位…。1位じゃないんだね。」
ずっと勉強を頑張っていたから悔しいな。
落ち込んでしまった僕をお父さんは慰めてくれた。
「そう、落ち込むな。家庭教師だけで2位なんて凄いことなんだから。次、1位を取ればいいさ。ハルならとれる。」
そっか。そうだよね。
勉強に自信があった僕より上だった人ってどんな人だろう?すごく頭のいい人だから真面目な人なんだろうな。すごく気になったからワクワクしながら聞いてみた。
「ねぇねぇ。1位はどんな人なのかお父さんは知ってるの?」
するとお父さんは困った顔になった。
「1位は、雪峰 律月という生徒でね。調べると素行があまり良くない生徒だった。家柄も分からない。ハルには危険な生徒だ。私としては関わってほしくない。」
ショックだった。だって、成績が1番の人は真面目な人がなるものだから。
さらにお父さんから、その人は生徒会役員って知った。そんな人が役員で大丈夫なのかな?
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