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律月side
俺は今、滅多に行かない食堂の前にいる。
生徒会の皆と一緒に。
副会長が昼食は食堂に行くそうなので皆で挨拶しに行きませんか?と本人が提案してきた。
皆も副会長の提案に乗って、今に至る。
ついでに一緒に食事でも、とか言っていたが、それは遠慮した。昼飯は食べない派だからね。
皆は食べる気満々だけど。
「さぁ、耳栓しましたか?それでは開けますよ」
副会長が先陣を切って食堂の中へ。
扉が開いた瞬間、親衛隊の歓声が食堂に響いた。
そして会長は一言
「黙れ」
歓声はピタリと止んだ。
これは毎度思う。すごいなって。
そして親衛隊の子たちは子犬みたいで可愛い。
いつの間にか、副会長は早足で咲坂くんの元へ行っていた。
「あ!翠先輩!」
副会長の下の名前を読んだ白髪の子。
写真で見るより綺麗で、天使のようだった。
だから親衛隊の子達も副会長の下の名前を読んでも何も言わない。微笑ましく見ている。
「咲坂くん。生徒会として挨拶にきました。」
「僕の為にですか?嬉しいです!えっと…」
副会長はニコッと笑い
「こちらから自己紹介しますね。改めて、生徒会副会長をしています。3年の九重 翠です。よろしくお願いしますね。」
「はい!よろしくお願いします!!」
双子の紹介
「「僕達は、生徒会庶務!1年の」」
「兄の白濱 遥斗」
「弟の侑斗」
「「よろしくねぇー!」」
いたずらっ子のようにクスクス笑いながら双子は挨拶し、昔からハマってるらしい『どっちでしょう?』というゲームを始めた。
俺は見分けられるよ。顔も声もかなり似てるけどやっぱり少し違うからね。
咲坂くんはどうやら正解したようだ。
「「すごーい!正解!なんで?すっごく難しいのにー」」
「そうですか?確かに似てるけど、やっぱり違うところがあるので!」
周りは拍手し、生徒会メンバーは褒めまくる。
そして次は書記の紹介。大型のワンコだ。
「2…ねん…。書、記…いぬ…い。わ…る。よ…しく」
2年の 戌井 渉君。
「いぬい…わたる…君ですね!よろしくお願いします!!」
「き……れる…の?」
「勿論!聞き取れますよ!」
「ハ…ル、カ……す、き」
「ほんと?!えへへ、嬉しいです!」
和やかムード。
皆、2人を、微笑ましく見守っていた。
すると、咲坂くんは俺の方を何故かキッと見て、
「貴方が雪峰 律月さん…ですね」
さっきの和やかムードはどこえやら。
「正解。俺は生徒会会計をしてる、2年の雪峰 律月だよぉ。よろしくねぇ〜」
ヘラヘラと応えた。これが学園での俺だから。
「えぇ。噂は聞いてますから。あの、質問していいですか?」
ほんわかしていた食堂がピリピリした場に早変わり。
「いいよぉ?」
「…なんで、いろんな、その…///」
いろんな人とヤッてるんですか、とかか?
転入前から、俺の噂知ってるなんて。さすが、俺。
一度もやってないけどね。
「ふーん。初心だね。言いたいことは、まぁ〜分かるけどぉ。これが俺だから♪なんか、ごめんねぇ」
すると目の前の咲坂くんは急に涙目になり、熱く説得してきた。
「だめだよ!そんなことしてたら!!そうか!友達がいなくて寂しいから、そういう事をしてるんだよね?でも、あれは好きな人同士でする事だから、そうじゃないのにするなんてお互い辛いだけなんだよ!だから、僕が友達になる!僕が友達になってあげるから、そういうのは止めて!」
言い終わるとグスグスと泣き出した。
え、何この展開。
なんか生徒会メンバーから睨まれるんだけど。
なんか悪いことした?
あと友達になってあげるって何?初対面で上から来たよ。
面倒くさいなぁ…
苦手だなぁ…
「えー……。俺、もう挨拶したからぁ。バイバァイ」
帰ろうとすると、さっきまで副会長とクラスメイトに慰められてた咲坂くんはこちらにトコトコきてギュッと抱きついてきた。そして俺を見上げる。
俺のほうが身長高いから上目遣い。
惚れてる副会長はこの行動をされるとキュンとなるだろうけど、これっぽっちもキュンとしない。
ていうかこの子、自分が可愛いって自覚してる系?
「もう友達なんだから、一緒に食べるんだよ!ずっとそういう生活してたから直ぐには変えられない事は分かった。律月君も本当は素直になりたいんだよね!僕には分かる!だから、悪いことしそうになったら止めてあげるよ!」
周りは「優しい」やら「天使だ」と聞こえる。そして「雪峰様もこれで変わるといいね」や「寂しいけど、雪峰様が幸せなら僕は嬉しい」やら。
ん?何言ってるの?
もんもんとしていると会長に首元をグイッとされ、強制的に咲坂くんと離された。
…そこまでしなくても普通に離れたんだが。
扱い雑だなぁ。
「俺様がまだなんだが?」
蚊帳の外だったのが嫌で我慢できなかったの?会長。
可愛いねぇ〜。
咲坂くんは、急に離されたのが嫌だったのか、ムッとした表情で会長をみる。
それをスルーする会長。
「俺様は生徒会会長をしている。3年の八重咲 巽だ。」
「よろしくお願いします。でも1ついいですか。」
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