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渉side
律月の変わり様に俺も驚いた。
遥はたどたどしく話すのは俺の真似って言うけど、それは違うと思った。
演技に見えなかったから。
ちょっと分かる。声が出にくそうなのは。
律月の事はそこ迄嫌いなわけじゃない。
チャラチャラしてるけど、ちゃんと聞いてくれるし優しかった。
でも、律月の味方すれば他の皆に嫌われると思ったから同調してしまった。
次第に自分も律月が悪いと思うようになって。
気付けば、律月の身体を俺達が壊してしまった。
リコールは律月の為にいいと思った。だから賛成した。会計の仕事は大変だけど、遥はできたから。もう、律月に無理させることもない。これからは当たり前だけど仕事をちゃんとする。
今日で律月の会計としての最後の仕事。
翠先輩や遥にいろいろ言われて帰ろうとしても帰れなかったけど。
俺は相変わらず見るだけで何もできなかった。
やっと帰ろうとした律月の様子がいきなりおかしくなった。
呼吸が乱れたと思ったら、嘔吐した。
まだ嘔吐いていたから直ぐにゴミ箱を口元にやる。
翠先輩も遥と喋っていたけど俺達の様子がおかしくなったのに気付いたのか近寄ってきた。
「どうしたんですか。渉」
「わ…かん、…ぃ。急、に」
ずっと呼吸が整わない律月。次第に涙を流し、余計に苦しそうだ。
「……ぃや、だ……た…すけて…」
そう言って、律月は意識を失った。
「り…き!」
急いで支える
助けてって何?
何があったの?
「……ぃ…いむ、しつ行く!」
律月を抱き上げて、急いで向かった。
律月は、すごく軽かった。
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