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「それでは」
浦方さんは語りだした。
すごく信じられない話を。
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この学園の理事長は道重千歳さんという方とお付き合いしていました。
それはもう家族ぐるみで仲もよく、大学卒業後は結婚もしやにいれていました。
理事長、藤花様は海外の大学へ、千歳様は国内の大学へそれぞれ進学し、遠距離恋愛でしたが毎日のように連絡をして会えなくても仲を深めていました。
とても幸せに暮らしていましたが、藤花様は心配事がありました。
千歳様がひとり暮らしをしていることです。
千歳様は才色兼備、眉目秀麗。とても美しく優しく芯のもった女性で同性•異性共に人気のある方でした。
藤花様の心配事はただ一つ。
貴方のお父様、咲坂靖幸に狙われる事です。
藤花様がまだ高等部に通っていた頃、貴方のお父様と同級生で当時同じクラスでした。
アレは大変趣味の悪い性癖の持ち主だったそうです。
しっかりした優しい女性を躾、自分のモノにする。
咲坂靖幸がある女性を見て言った独り言
「アレは躾がいがありそうだ」と。
それを聞いた藤花様は気味が悪いと思ったそうです。
そして後日、躾がいがありそうと言われた女性は自殺しました。
その頃からでしょうか、自分の通う学園以外にも他校の似たような性格の女性が次々と自殺したのです。皆、共通して妊娠していました。
藤花様は咲坂靖幸が原因ではないかと疑い、そして自身の恋人である千歳様も狙われると考えたのです。
月日が経ち大学卒業後、二人は5日後に会う約束をしました。
ですが、約束した日に護衛をしていた者は事故死し、千歳様の行方が分からなくなったのです。
そして千歳様は7年後、遺体で発見されました。
やせ細り、変わり果てた姿で。
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