その手の温もりで俺は

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最近、俺にもいいなと思う女性ができた 何回かご飯を食べに行った程度だけれど気持ちがゆったりしている自分に気がついたりして安心できた ある日、夜ご飯を食べに行ったあと、海を見に行った そのとき、なぜだかふっとあの話をこの人にしてみようかと思った あれ以来誰にも話さなかった いや 誰にも話せなかったのだと思う あの話をポツポツと話し始めた 全部話し終わると手を繋いだこともない彼女が運転席の俺の背中に手を当ててさすり始めた ずいぶん長い間、辛かったですね、と 彼女は涙をためていた 俺は知らぬ間に涙をながしていた このとき、何かが 俺の中で確実に何かが 変わり始めた気がしたんだ 冷たい部屋に心を閉じこめていた俺 背中の温もりが俺の心を冷たい部屋から出してくれたようだった 俺の冷えた心にそおっと触れてくれた彼女の温もり あぁ この女性(ひと)だと思った
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