その手の温もりで俺は

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学生時代からバイトに励んで貯めに貯めて、社会人の2年目には車を買った それはそれは大切にしていたし、休日はドライブするのが楽しみだった 学生時代の友達の達也が貸してくれよと何回か言ってきたが俺は貸さなかった まだ、自分だけで味わいたかったからだ 宝物をそんなに容易く人に貸す気にならなかった ある日、達也が 貸すのがダメなら隣に乗せてくれよ と言うので仕方なく助手席に達也を乗せてドライブに出掛けた 達也は やっぱりスポーツカーはいいなぁ と言ってうらやましがっていた 達也の自宅まで送り届けると 一周だけ運転させてくれないか と、言ってきた 迷ったがあんまり断るのも気がひけたので安全運転しろよとだけ言って俺は運転席から降りて達也に変わった あいつはわかってるよなどと言って一人で走りは始めた それきり達也も車も二度と俺の所に戻って来ないなんて想像もしていなかった
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