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一夫多妻制を許された国の王族様かと見紛うばかりのハーレムっぷりのあの男の姿を脳裏に思い浮かべると、自然と眉間にシワが寄るのを感じた。
すると孝明はニヤニヤとゲスな笑みを浮かべ、答えた。
「そりゃ、居るだろうよ。
今は確か、三組の二階堂さんと付き合ってるんじゃなかったっけ?
二階堂さん本人が嬉しそうに、触れ回ってたし」
二階堂さん......だと!?
我が校の人気NO.1美少女までもが、まさかアイツの毒牙にかかっていたとは。
俺も以前一度デートに誘ったが、歯牙にもかけられなかったと言うのに。
ワナワナと、怒りに震える俺。
それを見て孝明は呆れた様子で俺の肩にポンと手を乗せ、言った。
「アイツと競おうとするのは、もうやめとけって。
お前もそこそこのレベルではあるが、なんつーか......階級が違う。
例えるなら、あれだ。
ミニマム級のアマチュアボクサーが、ヘビー級の世界チャンピオンに無謀にも挑んでく感じ?」
「......誰がミニマム級の、アマチュアボクサーだ。
絶対俺にだって、アイツに敵う事がひとつくらいはあるはずだ!」
鼻息荒く、絶叫した。
そして運悪く、そのタイミングで。
......嫌な気配を感じて振り向くと、執事姿の神宮寺 統その人がクスリと笑った。
「本当に懲りないですよね、山田様。
でもそういうところ、嫌いじゃないですよ?」
スッ、と俺の頬に触れた、白い手袋越しの彼の手のひら。
周囲の女子達から、キャーっという黄色い歓声があがった。
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