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「......俺はお前の事なんか、大っ嫌いだけどな」
ギャラリーがたくさんいた上、二組は完全アウェイだから不利だと考え、顔だけは満面の笑みで神宮寺と孝明にだけ聞こえるくらいの大きさの声で言ってやった。
すると神宮寺は、クククと肩を揺らして笑った。
しかし、こんな浮世離れしたコスプレまで似合うとか。
......正直、勝てる気がしない。
二階堂さんがコイツを選んだのも、悔しいけれど仕方がない事なのかもしれない。
ちょっとだけ落ち込みかけた俺の異変に気付いたのか、顔を心配そうに覗き込む琥珀色の瞳。
それに驚き、体がピョコンと跳ね上がった。
「ご主人様、こちらは当店からのサービス品でございます。
よろしければ、お召し上がり下さい」
クスリと笑い、嫌味なまでに綺麗にお辞儀をひとつして、彼は本物の執事さながらトレイから愛らしくラッピングされたクッキーを一袋取り、俺と孝明の前にそっと置いた。
「わー、サンキュー神宮寺。
では、ありがたく」
甘党の孝明は瞳をキラキラ輝かせ、それを受け取ると、即座に封を開けた。
......貴様にはプライドというもんが、ないのか。
そしてそのきつね色にこんがり焼かれたチョコチップクッキーをひとくちで頬張ると、孝明は蕩けそうな表情で笑った。
「うんま!これも、このクラスの女の子達が作ったの?」
孝明の問いに、神宮寺は穏やかに微笑み答えた。
「いえ......それは、私が」
そんなモノまで、作れるとか。
お前は、完璧超人か!
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