親方、空から桃色の液体が!!

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 心地よい春風が舞う。  優しい春風は、窓辺から静かにカーテンを揺らし、陽の光を部屋の中にへとかきいれる。 「んっ」  そして、その陽の光は自分の顔に当たり、睡魔に襲われ唆されるかのようには眠りの世界に入り込んでいた私の意識は徐々にへと浮き上がっていき目が覚める。  薄くも柔らかい毛布を私の体から剥がすと、ゆっくりと体を起こしていき、その身をベッドから降ろす。 「ふわぁぁ………」  だが完全に睡魔は抜けることはなく、大きな欠伸を上げると、自分の体は急に重くなったかのようになるが、簡単なストレッチをして窓辺に閉まっていたカーテンを開けると、体は開いた窓から入り込む春風と風にのった柔らかな香りが自分の体を目を覚ます。 「ん……………」  春風にあたった自分の体は、目g覚めるように体の中にある睡魔を全て吐き出すかのように体を伸ばし、窓辺から映る変わりない日常を見つめる。  そのままパジャマから制服へと着替えると、自分の部屋を出てゆき、朝食の準備をし始める。  と言ってみても、やることは食パンをオーブンの中に入れてお湯をかけるだけという簡単な作業なのだが……。  とはいえ、その作業だけでも神経を使うものでまだ、目覚めていない体の一部に蹴りを入れる為、洗面所にへとゆき、蛇口を開くと、その口からは水が流れ出て、流れ出た水を掬うかのように手を器にして水を溜めると、溜めた水をそのまま顔にへとぶつける。  冷たい水は顔にぶつかり、濡れるとその冷たさに意識もきちんとしていき、先ほどまで体に溜まっていた暖かさは一瞬の水の冷たさに身がしまる様な感覚を覚える。 「……………」  バシャ、バシャ、と何度も手に溜めた水を顔にぶつける、顔を綺麗に洗うと、頭の寝癖を整える。  と言っても、水をつけ櫛をかけるだけであっという間に寝癖は消える為、この作業はあってもなくてもさほど変わらないものなのだが、習慣づいているものを急にやめるという行為はどうしてもやめることはできない。 「いただきます」  そして、朝食の準備を整え、暖かいコーヒーとスープ、少ないキャベツとハムが乗った皿に主食となる四角い食パンが置かれている皿を眺めると、食事の挨拶をし始め、食事を始める。  いつもと同じように商い朝食は綺麗さっぱりと、あっさり、食べてしまうと「ごちそうさま」、と感謝の言葉を言い食器を片付け始める。 「………行ってきます」  誰もいない家の中に向かって、そう挨拶をすると、手に持った小さな学生鞄を手に取ると、自分はそのまま出口へと向かった。扉を開いた先には何気ない平和な風景が非rがっており、気持ちの良い朝の光が町々へと差し込み、コンクリートの隙間からは小さな花や草木が過酷な環境で生き延びようと天に向かって登ろうとしており、日はそれを支えるかのように草木に照り付けていた。  自分はそのような風景を見ながらも、黒く輝くコンクリートの上を歩き続ける。  カツンカツンと軽い音を鳴らしながら、爽やかな朝日が町々の隙間から影を取り除くかのように、町は徐々に明るく変化する。そのような町の中で自分は何気ない平和な学生らしい登校路につき、と降りすぎる人々を横目で見通す。 「あ、なおちゃん、おはよう」 「おはようございます」  通り掛る人たちは自分の余蘊ああ全く興味を示さないような人物だけではなく、時には毎日、挨拶をしてくれ売る方もいる。いつもと同じような挨拶は自分自身に人と会話する、という行為を進めてくれる。  それは自分に挨拶をしてくださった近所の豆腐屋の御婆ちゃんのように、他の人よりも一世二世生きている方にはその挨拶に優しさのような物を感じさせる。 「………」  暇とも思わず、ただ変わり映え無い生活に、違和感を抱かずとも平和で心臓に何一つ負担をかけない生活を送っている。  気持ちの良い朝日に、可愛らしくも無く小鳥の囀り、そして元気そうな自分と同じような学生服を着ている人や黄色い安全帽を被っている小学生が自分の横を通り過ぎていく。  学生登校路と指定されているこの道は、多くのサラリーマンや学生が行き来している。  こうした平和な生活が一番いいのだが、その平和な生活に我慢でき婦負人物たちは、よく事件や事故を起こしたりする。そういうことが、たびたびニュースや新聞などに取り上げられ人の目に着けられる。だが、今の自分自身にはそのようなことは一切ない。  ただ平和な生活をしたいだけ。  静かに暮らしたいだけ。  たまに、人目につけられたいという気持ちはあるが、恥ずかしい思いは嫌になる。 「はぁ、それにしても出会いの一つや二つ、あってもいいんじゃないかな?」  そのようなことを呟きながら、自分は全く持って異性との出会いがないことを嘆きながら、ただ平凡的な登校路を通る。  ただ茫然となりながら、憂鬱になりながら、はたまた今後のことに迷いながら、平然とした顔をしながらその胸の奥ではいろんなことを思いながら、その歩を学校にへと進める。  バシャ、  だが急にそのような煩悩的な思考は一瞬で消え去り、頭の中が真っ白になる。 「………え?」  一体、何が起こったのかと頭の中が真っ白になりながら静かに顔に掛かったものに触れる。頭から来たものだが頭を直接触れるよりも比較的手から近く、日常的に触れられるところの顔に触れたほうが早い。すると、顔には何も匂いを感じない桃色の液体がかかっていた。  一体、自分が何をしたんだ、と思いながらも自分は勢いよく液体が降りかかってきた空を見るが、そこには何もなくただ綺麗な青空と小さな雲しか浮かんでおらず飛行機や鳥などと言った飛行物体は何一つ存在していなかった。 「え」  目の前に映る異常すぎるその気味の悪い風景を覚えながら、驚愕の風景を眺める。  思考をひたすら回して見せても目の前に広がる風景は何一つ変わりはせず、ただ雲はゆっくりと通り過ぎていく。 「……………なんだったんだろう」  濡れる体をポケットから取り出したハンカチで拭きながら再びその足を登校路にへと戻した。
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