親方、空から桃色の液体が!!

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 アハハ、ソレハナイッテー、ネェアノドラマミタ?  よく分からない登校を終え、自分は教室にへと入り込むと、そこには自分のクラスメイト達が朝の団欒をしていた。何事もないように平和な一日がやっとここから始まると考えると、憂鬱な気持ちとは思わない。逆に憂鬱と思うと、何も思えなくなってしまう。  それにしてもあれは一体、何だったんだろう。 「お、おっは。なお!」 「あ、慧、おはよう」  するとそんなことをぼーっと考えていると、自分に急に声が掛かる。  自分はそのまま声のする方を見ると、そこには活気のあるスポーツ系の男子生徒がいた。  慧と呼ぶその男子生徒は明るい笑顔を向けながら、自分の方へと話しかけてくる。自分と彼の席は近くにあり、自分はそのまま自身の席にへと向かうと、慧は弾が尽きる事のないことのないマシンガンの様に連続に話しかけてくる。  だが自分はそのような彼のトークを聞きながらも、一時限の準備をしながら彼の話を聞き流す。 「おい、聞いているのか?」 「聞いているよ。この前の野球の話でしょ? あれは先生が悪いと思うよ」 「だろぉ!?」  別段、彼の話が嫌いというわけではない。ある意味、好きな物だと思ってしまう程だ。  何もしない無音の世界は嫌いだから、こういう騒がしい世界はとにかく好きであった。  ああだ、こうだ、と話し続ける慧を前にして自分はゆっくりと授業の準備を終える。それからは先生が来るまで、彼の話を聞くまであった。  彼が何か承認してほしそうな口ぶりをすると自分はうんうん、と言いながら首を縦に振り、分からないものがあるのなら、うーん、分からないなぁ、とうまく相槌しながら彼の事を見続ける。 キーンコーンカーンコーン、 「はーい、もう時間だよぉ。席につけぇ」 「やべ、薫ちゃんだ」  すると学校のチャイムが鳴り、いつもと同じようにクラスメイト達は先生が入ってきた瞬間、自らの席に移動し朝の朝礼のような物が行われ、出席を取る。  薫ちゃんと呼ばれるシンプルなリクルートスーツを着ている先生は、鼻にかけたメガネをクイッ、と上げながら出席を取っていき、出席表に印をつけていく。 「じゃあ、一時限はこのまま世界史だからこのままやり始めるぞ~」  ダルそうな声を上げながら薫ちゃんは授業の準備を始め、背後に配置されている薄板に向かってマッキーペンを走らせる。  瞬間、休み時間が開始させられ、クラスメイト達は次々と授業の準備を始める。  だからと言って自分はその準備さえも既に終えてていたために、暇な状況が自分の事を見ていた。  まるで準備していない自分はこの状況からはぶられたかのように、静かな状況が自分の身の回りに起きている。実際は静かな環境なんて広がってはいないものだが、幻聴かそれとも幻覚と思わせるものがあり、人間には集団心理というものは孤立した物が集団の中にいると完全に浮くような状態になり、多くの人たちは集団に溶け込もうとする傾向がある。  だがこのように自分の様に浮く人にとってはこの状況はまさに浮いている状況になり、浮いている人物は周りと同調しないため寂しさと孤独感を味わうことになる。それが今の自分の状況だ。 「なぁ、なお!」 「!! な、何かな?」  すると徐々に不安定になりかけていた自分の気持ちだったが自分の前の席にいた慧は話しかけてくる。  瞬間、自分の意識は安定したかのように元に戻り、意識もあっという間に慧の元にへ戻される。 「何かなって、予習してきたんだろ?」 「あ、うん」 「なら、見せてくれよ」 「え、もしかして……また?」 「ごめん」  慧はそう謝りながら自分に向かって話すと、自分は渋々、机の上に置いてあった世界史のノートを見せる。 「今度こそ、やってきてよ」 「そうだぞ? じゃないと反省文付けるからな?」 「分かったよ……………って、先生!っ?」  すると慧の背後からぬっと幽霊のように出てきて薫先生は慧の肩をポンっと叩きながら見たこともない笑顔で慧の事を見つめていた。 「ひ、ひゃい」  さすがにその見たこと無い程の薫先生の笑顔に対して慧は聞いたこともない程の可愛らしい声を発しながら、返事をしていた。  結局、薫先生が見ている中、慧は予習ノートを写し、見事に薫先生に罰を食らっていた。 「くそぉ」  本当にこれに関しては何も言えない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加