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十二階。そこが私のお気に入りだった。
私が幼い頃から両親が連れて行ってくれていた場所。
その商業施設の十二階には唯一外の景色を一望できるデッキがあり、よくそこから新宿を眺めていた。
夜は東京タワーとスカイツリーが天を貫くように光り輝き、真っ直ぐに並んだ車の赤いライトや、まるで電光掲示板かのように大量の窓のついたオフィスビルなどが見える。
宝石箱をひっくり返したかのような華やかな景色は、大学生となった今でも私を魅了していた。
「ふうん、いい景色だね」
私の隣でソラは言った。
彼女は首から提げた双眼鏡を指でトントンと叩いている。これがソラの癖だった。
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