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「ソラの言った通りだった。私の見てた新宿は本当の新宿じゃなかった。こんなにも汚かったんだ」
ぼそっと呟く。私の声は新宿の街に吸い込まれて行った。
「そうかなぁ」
ソラは軽い口調で言うと同時にカシャリとシャッターを切った。そして撮った写真を自慢げに見せてくる。
そこにあったのは私の写真とほぼ変わらない構図で撮られたものだった。
「さっきは汚いって言ったけど、このカメラでもう一度見て見たら私が間違ってたって思ったけど」
ちょっと真面目な顔になってソラは続ける。
「私が双眼鏡で見てたものなんて、ほんの一部だった。この新宿の写真を見て、人間ってこんなにも綺麗なものを作れるんだって思った」
ちょっと星を落としすぎた気もするけどね、とソラは笑う。
ソラの写真にも細く光る下弦の月と、所々で光り輝く星々が写っていた。
「どっちも本当の新宿には変わりないね」
「そゆこと」
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