薔薇色の未来

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『お気に入りのタルト。久し振りのジムで頑張った自分へのご褒美。カロリー控えめで嬉しい』  一週間程経って、可愛らしいフルーツタルトの写真が、店名と共に投稿された。  豊嗣は早速、インターネットで検索した。すると、香世の勤める会社から一駅離れた場所にある店で、近くにスポーツジムがあることが判明した。  ウェブサイトを見ると、全国に店舗のあるチェーン店だった。料金は、利用時間や回数によって異なるが、入会金を払って会員登録さえすれば、一回毎に利用料を払う方式も選べるらしい。  香世の利用に合わせて通うなら、一回毎に払う方が経済的だが、空いた時間にジムに通い、香世が現れるのを待つなら、一番高い月額会員になる方がいい。どちらにするか迷った挙げ句、まずは会員登録だけ済ませようと、オンライン上で入会手続きの予約をした。 「いらっしゃいませ」 「「プラチナ・スポーツジムへようこそ」」  翌日、予約時刻にジムを訪れると、受付の女性が大きな声で出迎え、周囲にいた他のトレーナーやスタッフ達が声を揃えて叫んだ。トレーナーはもちろんだが、受付の女性も、清掃員と思しきスタッフも、皆がそれぞれ鍛えていることがわかる程度に、筋肉をつけている。 「新規ご入会の馬場様でいらっしゃいますか」 「ああ、はい」 「では、免許証等の身分証明書をご提示ください」  豊嗣が言われるままに免許証を出すと、受付の女性はテキパキと手続きを進め、気付けば会員証が発行されていた。 「男性用のロッカーは向かって右側の青い扉です。貴重品は入り口の貴重品用ロッカーをご利用ください。トレーニングルームは地下と二階にございますが、初めての方には、二階をお勧めしております。ウェアとシューズのレンタルをご希望の場合は、隣のカウンターでお手続きください」  豊嗣が説明を受けていると、背後の自動扉が開いた。
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