〈守護者〉

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 リアさんの声でした。  黒の外套は砂まみれでズタズタでしたが、それだけです。長大な鎌を柄の先端を片手で掴んで、長く突き出すようにし、頬には苦笑のようなものを浮かべています。  弾かれたように、少年兵はリアさんに向き直りました。 「みんなは? イツツア様は?」 「死者三名ってとこかな。イツツアさんはねえ、止めは刺さなかったから。まあ、花人一如はあの程度じゃくたばらないと思う。死んでたらごめん」 「くっ……」彼は息を呑みました。 「それで四人目になる? こう見えても、あたしは殺生はあんまり好きじゃないんだよ。少年」 「俺はリウロだ。少年なんて呼ぶな!」 「へえ。でも少年は元気なんだし。勝ち目のない戦いを挑むくらいなら、生き残った仲間の手当でもしてやった方が功徳だと思うよ」 「……」 「それとも、あたしに勝ち目があるなんて本気で思う?」 「…………さない」 「へ?」 「……サリナ姫の……マグ王には渡さない」  噛み締めた歯の間から漏れた、彼の言葉は囁きに近く、わたしには半分ほどしか聞こえませんでした。何を渡したくないというのでしょう? お姫様の遺品でしょうか。  ぽと。  わたしの頬から、地面に何かが滴り落ちたのは、そのときです。  まだ傷から血が。  そう思ったわたしは、半ば無意識に頬を拭い、指先を見ました。  でも。  それは。  血ではありませんでした。  動かなくなったアヌイさんを、わたしは見ました。  彼の身体の傷口から垂れている、どす黒い液体。わたしの指を濡らしているのは、それと同じでした。  胸元を縛る紐を引きちぎって、わたしは覗き込みました。  傷口がありました。  縫い合わせた傷口、小鳥の卵のように物体を埋め込んだ痕が、わたしの胸にもはっきりと刻まれていました。
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