宮廷

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 こんなふうにして、三人のプクさんを介した、王とリアさんの実りのない会話は続きました。  リアさんはわたしについて、状況について、わたしは死人で、人格は構築物だから洗脳は無理だとか、とにかく説明しようとするのですが、王は臣下の礼についてウダウダと言い募るばかりで、さっぱり聞こうとしません。  半刻ほどして、ついにリアさんがキレました。  とっとと報酬をよこしやがれ、そうしたらこのコを置いて、出てってやらあ、と啖呵を切ったのです。返答は革袋でした。プクさんが野良犬に残飯でも与えるように、リアさんの足元に投げ捨てたのです。 「どうする?」  その扱いにも顔色一つ使えずに、革袋を懐に収めたリアさんは、わたしにだけ聞こえるよう囁きかけました。 「本気でここに残るつもり?」 「はい」わたしは答えました。「この人たちが、わたしに、いえ、サリナさんに何を望んだのかを知りたいんです」 「……変なとこで頑固だね」  それは苦笑だったでしょうか?  最後にそんな表情を見せると、わたしの肩を軽く叩いてから、リアさんは背を向けました。切り欠きに消えていく、その後姿を見送ってから、わたしは玉座に向き直りました。 「お言葉を伝える」プクさんが同時に声を張り上げました。「これを使えるか、との御下問である。答えよ」 「これ?」  わたしがつぶやいたのと、その球体が鼻先に突き出されたのは同時でした。  球体の大きさは両手で下半分が包めるほど、色は黒というより、周囲の光をすべて吸い込むような闇の色でした。その中に星を思わせる輝きが浮かんで見えます。  思わず両手を差し出すと、球体、いえ〈黒のインターフェース〉が浮かび上がりました。同時に三個のレンズのようなものが表面に生じました。〈インターフェース〉はレンズで、わたしをしばらく見つめるようにした後で、自分からわたしの両手の間に移動したのです。  それを抱きしめたとき、わたしは黒い〈花〉のイメージを思い浮かべました。声が聞こえたような気がして、そうしなければいけない気がしたのです。  釣鐘草を思わせる、わたしの黒い〈花〉が、わたしを取り囲むように咲き誇った、その瞬間、今度ははっきりと声が聞こえました。 「あなたをわたしの所有者として認めます」  〈黒のインターフェース〉を抱きしめたまま、わたしはため息を吐きました。
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