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運命
始まってしまった。
もう誰も止めることはできない。
この世界の概念すら根底から崩壊させる力を持つ二人を。
でも彼は言った。
必ず生きて戻ると。
だから私は信じる。
信じて見守る。
彼と、この世界の行方を。
「待たせたな……」
「ふっ、来るのは分かっていたぞ。だが少々退屈でな、国の形でも変えてやろうかと思っておったところだ」
「そんなことしないさ、お前は。俺だって根源に触れたんだ。もう、お前のことは手に取るように分かる。そっちだって一緒だろ? なあ、兄さん」
「くく……やはりな。気付いておるのは分かっておったわ。だが我は止まる気はないぞ」
「知ってるよ。だから俺はここに来た。この虹宝珠を持ってな」
「我をあまりなめるなよ……見抜いておるわ。それよりもいいのか? もうそこは我の縛鎖領域内だぞ」
「はは、分かってないとでも思ったか?
甘いよ。俺はもう元素転換術式を使えるんだぜ」
「百も承知。なればこその現幻反転だ」
「やっぱりな、だと思ったよ。でもこれを見ろよ」
「崩魔の祈り子であろう? 分かっておるさ。だが我は――」
「万花八極霊壁、だよな。気付いてたよ……」
三日が経った。
二人の話は終わらない。
今は前世の前世のもひとつ前世に遡って、当時の家族構成の当て合いをしている。
なんだオマエら。
実は兄弟でしたー、が霞むほど知り尽くしてんじゃん。
何の隠し事もねーじゃん。
もう運命じゃん、運命の人じゃん。
ってか前世語ってどーすんだよ。
知らねーし、興味ねーし。
戦わねーなら、握手でもして帰ってこいや。
あー……甘いもの食べたーい。
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