灰色の朝。

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灰色の朝。

 特別何かが得意じゃない。普通といえば普通で、人というものから外れた行動はしたことない。  だけど時折、存在している意味や、ここで勉強し、生きていく意味がわからなくなる。  だからこれは一つのきっかけだった。  大体嫌われがちな火曜日。中学はもちろん朝からで、妹は一足先に学校へ行っていた。  専門学生の私は、まだ家を出る時間帯ではない。寝ぼけながらゆっくり支度を終わらせていく。その間にも朝から仕事のある両親は、挨拶もそこそこに玄関から飛び出していった。  一人になった家。私はまだここにいるのに。なぜだろう。虚無感が漂い出して、私という存在を消してしまいそうな、嫌な空気が漂っているように思った。外から話し声が聞こえるのに。テレビからはちゃんとアナウンサーの話す声が聞こえているのに。遮断された世界にいる気がして、落ち着かない。  朝ごはんくらいリビングでテレビを見ながら、と思っていたのに、耐え切れなくてそのまま部屋に戻った。用意したご飯ですらあまり喉を通らなくて、えらく時間がかかってしまう。  嫌になるなあ。  そんなこと、何度思ったことだろう。ため息を吐きながら、また白米を口に入れた。  もそもそ、もそもそ。  水っ気が足りなくて、おいしくなかった。
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