秘密

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

秘密

 ぱらさんとの思い出を綴った小説を書いてみた。某小説投稿サイトに掲載したところ、なんと30位にランクインした。  快挙である。  何作品あるかわからないが快挙である。  喜びのツイートをしてみる。 「私の半生を描いた物語です」  ぱらさんが、引用ツイートしてくれたようだ。喜んでくれているのだろうか。ツイートにはこう続いていた。 「私もnoteを始めてみました」  どうやら、これから定期的に更新するようだ。ぱらさんの記事が楽しみである。  明くる日も明くる日も、ぱらさんはnoteをアップする。ツイートを添えて。 「noteを書くのが、だんだん習慣になってきました」  一度決めたことをやり抜く初志貫徹の精神。さすが息子である。  ここで、ある重大な事実がある。実はまだ誰もそのことに気付いていない。  それは、「私がぱらさんのnoteを一度も読んだことがない」という事実である。  なぜなのか。  考えなくても答えはすでに出ている。 「あとで読もう」  そう思うからである。いつもいつも見逃していた。  時の流れというものは残酷だ。Twitterのタイムラインは無残にも、ぱらさんのツイートをかき消していく。 「今すぐ読まなければ、ぱらさんのツイートが埋れてしまう……!」  ぱらさんのアイコンをタップして、今までのツイートを読み返してみる。そこには、過去にアップされたnoteがこれでもかと並んでいた。 「こんなにたくさん書いていたのか」  思わず目頭が熱くなる。これが鬼の目にも涙というものか。次第に私の気持ちは傾いていった。 「何から読めばいいのだろう?」  たくさんありすぎて結局読めずにいる。  〜完〜
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!