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並木道にイルミネーションが灯る冬。
「これ」、葉山さんの家で行われたクリスマス会で、彼女が一番にマシュマロのお菓子をくれたので、ぼくはひどく浮かれていた。
けれど、その喜びはすぐに消えた。
他の男子も、そして女子にも。優しい葉山さんは、分け隔てなくマシュマロを配っているではないか!
ぼ、ぼくは、特別じゃないのか……。
現実を突きつけられ、ぼくはうなだれた。
しかも、二人きりになった廊下で彼女が言う。
「真野君、私、今度からエミちゃんと学校に行こうと思うの……」
ぼくは思いやりが足りなかった。
毎日いて、気付けなかった。
ぼくなんかよりも、葉山さんの方がもっと不安だったんだ。見知らぬ土地に引っ越して、知らない人間ばかりの街で、一人ぼっちで……。
葉山さんは、友達が欲しかったんだ。
それはぼくの欲しい「好き」じゃなかった……。
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