永遠の黄昏の中で

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 彼の言いたいことが分からず、首を傾げる。  そんな私の肩を抱き寄せながら、彼が囁く。 「そっ。一つの惑星なのに、昼の面と夜の面にずっと分かれてるなんてさ、俺達の夫婦生活みたいだなって」 「……ああ、そういう」  ようやく彼の言わんとするところを理解する。  なるほど、それは言いえて妙かもしれない。  熱烈な恋愛の末、周囲の反対を押し切って結婚した私達ふたり。  彼は、夜の商売の店を幾つも切り盛りする商売人で。  私は、大手企業で順調にキャリアを積む会社員で。  お互いの自由時間が全くかみ合わない、空回りの夫婦生活をかれこれ一年以上も続けている。  今日は年に数回あるかないかという、お互いの休みが重なる貴重な一日だった。  ――でも、それも日暮れを持って終わろうとしている。夜になれば彼は、また仕事に出なければならない。 「後悔してるの? 私と結婚したこと」 「まさか! 前にも言っただろ? こんなに人を好きになったのはお前が初めてだって。――一生傍にいさせてくれよ」
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