雫の悩み

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雫の悩み

 堂々と歩いていたとしても、見知らぬ奴が俺の半径2メートル以内を半年間どこへ行くにも付いて来ればストーカーと呼んでいいだろう。 そいつは突然背後に現れた。 そしてアパートの俺の隣の部屋を借り、24時間体制で付き纏われている。 俺は初めこいつが霊なんじゃないかと疑った。 なにせ俺は霊感体質でそういったものが見えてしまうからだ。 あまりにもはっきり見えるから、首がないとかあからさまで無ければ、見た目では区別が難しい時もある。 霊に付け回される事は頻繁で今回もそうかと思った。 でもこいつは生身の人間であるとすぐに分かった。 発せられてる気が生きた人のものだからだ。 俗に言うオーラっていうのも俺は見ようと思えば見える。 ここからが今の抱えている問題だ。 霊感体質もストーカーもどちらもすでに問題なんだけれど、俺は今選択に迫られている。 ストーカーを取るか 霊を取るか… どういう意味かと言うと、このストーカーは意外にもオーラがものすごく強烈で神聖なのだ。 生まれ持って清めの力を持っているのかもしれない。 だからこいつが近くにいる限り、俺に悪い霊は近寄って来れない。 俺のこれまでの人生はこの力の所為で他の人と同じとはずっといかなかった。 もうあんな生活はしたくない。 だから俺は俺に付き纏うこいつを捕まえることにしたんだ。
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