冥界からの誘い

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冥界からの誘い

 街中を歩いていると、道の上になにか赤い物が落ちているのを見つけた。よく見てみるとそれは封筒のようだった。  周りの人々は、封筒を気にせずに歩いては去って行く。気づいていないのか、気にしていないのかそれはわからない。  あの封筒をあのままにしていてはいけない。けれども拾う勇気も無い。  ここは日本なのに、どうしてあんなものがあるのだろう。じっと見つめていると、背筋が泡立ってきた。  きっと、あの封筒は誰かに渡すはずだったものを落としてしまったのだろう。そう自分に言い聞かせて、拾って交番に届けようと思ったのに、それができない。万が一を考えると、あの封筒に触れるのがおそろしいのだ。  死者と番う気は欠片もないのだから。
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