小話1 レオンハルト、異世界転位する

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「珍しいですね、エロ系以外の雑誌を読むなんて。 何の雑誌ですか、それ?」 龍王祭、あの全世界を巻き込んだ人間と龍の戦争から3週間。 金剛龍ダイアノス 厳山龍ヴォルケイデス 深緑龍プラティノア 鉄刃龍アイアノーノ 閻獄龍ファブニール これら人間と敵対する龍王候補が討伐された事でめでたく唯一僕達人間に味方してくれた緋炎龍イブリーズが龍王となり、 人間はこれからも大空の下を大手を振って出歩けるようになった。 しかし龍王祭で多くの龍が討たれた結果、彼らが支配していた地域が空白地帯となり魔獣の縄張り争いが各地で勃発。 軍やハンターズギルドが総力を挙げて対処に当たる事となり、龍王祭に端を発する混乱はまだ当分収まりそうにない。 更にこの混乱に乗じて裏社会の者達が勢力を広げようとしているようで、 同盟諸国連合の使いの人が何度もレオンさんの元を訪れ協力要請をしていた。 全部龍王祭で受けた傷が癒えていないとか適当な事言って断っていたけど。 そんな訳で、今レオンさんは完全にオフモードである。 一日の大半をベッドの上で過ごし、起き上がるのはトイレと風呂に入る時くらい。 食事も寝ながら食べる始末である。 「あんなぁ、オレだってエロ本以外にもファッション雑誌くらい読みますよ? 出来る男は身嗜みに気を遣うもんなんだよ。」 「年がら年中黒のロングコートの男が何か言ってらぁ。 で、何ですかそれ? ファッション雑誌ではないですよね?」 遠目では分からないが、肌色成分が無いので少なくともエロ本ではないだろう。 もしエロ本だったら今からシコるから部屋から出て行けとか言うしこのオナ猿は。 「転生雑誌。」 「あぁ、転職………………ん、今何て?」 「転生雑誌。」 「ちょっと何言ってるか分からないですね。」 頭がおかしいのは前からだが、龍王祭で一層おかしくなったらしい。 こいつは輪廻転生とか信じる信心深い奴ではなかったはずだ。 てか何転生雑誌って? 何処に売ってるんだよそんな物。 新興宗教の教典並に怪しいのだが。 「転生先を紹介してくれるありがたい雑誌だよ。 読んでみるか?」 「表紙の時点で胡散臭さハンパねぇ。」 パラパラとページをめくってみる。 中身は詐欺商材並にインチキ臭い内容ばかりだ。 「えーっと、何々……………引きニートの僕が馬車に轢かれて死んだら異世界転生して神様にもらった力で無双して美少女ハーレムを作る事が出来ました? うぇ、何だこの恥ずかしい内容は。 是非ともこれを書いた奴は両親の前で音読して欲しいですね。」
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