第四神 失楽園

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「口よりも手を動かせ!!!! 殺したら後々面倒だし胸糞悪いだろうが!!!!」 レオンハルトは手に持った【爆雷符】の術符をばら撒き、爆破の衝撃波で押し寄せる人の波を吹き飛ばしながら進む。 しかし数が数なだけにほぼ焼け石に水の状態であり、数人の意識を奪えばその倍以上の数が後ろから供給される。 「破ッ!!!!」 現状この状況において有効手段を有するのは、星屑幸人のみであった。 星屑幸人の気合が籠もった掛け声と共に剣圧が駆け抜け、バタバタと楽園から遣わされた兵隊達が倒れ進路が拓かれる。 「行くぞ!!!!」 星屑幸人は勇ましく先頭を走るが、何度も何度も剣圧を飛ばし闘気を消耗したせいかかなり疲労が目立つ。 星屑幸人の事情を知るレオンハルトは無理を通す姿勢に苦い顔をするが、それでも頼らざるを得ないのが実状。 せめて少しでも負担を減らそうと、星屑幸人に近付く者を片っ端から爆発の衝撃波で吹き飛ばす。 「遠い、遠過ぎだって!!!! こんなんじゃいつまで経っても着かないし数もどんどん増えてねえかこれ!!!?」 「後ろからも集まって来てるし、どの道進むしかないけどな!!!!」 一体何処から湧いて来たのか疑問に思う程の人の数。 恐らく周辺地域一帯の全ての住民が楽園の先鋒隊となっているようであり、 老若男女問わず英雄並の身体能力で押し迫る様は大地震に伴う津波に立ち向かっているかのようであった。 つまり、無謀である。 「流石にこれは気合でどうこうなる問題じゃないって。 こいつらには悪いが、死んだら運が無かったって事で───────」 親の仇ばりの敵意と殺意を向けられてはいるが、彼等は楽園の主に使われているだけの謂わば被害者である。 そのような者達を必要な犠牲とする事を良しとしない星屑幸人やレオンハルトは不殺を貫いていたが、 現実問題として不殺を貫き通し元凶の座する空中浮遊都市に辿り着くのは不可能。 ならば人殺しの汚名を負ってでもこの状況を打破する事が最良と割り切ったアウルは腕に力を込めるが、 背中で寝ていたはずのリリーがそれを制するように肩を掴む。 そして青白い光を放ち、全方位へ出力を弱めた雷を放った。 「アウルさん、降ろして下さい。 大丈夫………ではないですけど、もう動けます。」 雷で周囲の者達を無力化したリリーはふらつきながらも地面に降り立ち、悠々と飛ぶ空中浮遊都市に顔を向ける。 「掴まって下さい、一気に飛びます!!!!」 移動手段(リリー)の復帰。 これを心待ちにしていた3人はリリーの背中や腕を掴み、一呼吸の溜めの後大空へと連れ出される。
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