小話3 それぞれの日常

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当然僕達勇者一行にも魔獣討伐や仲裁等日々大量の依頼が舞い込んでおり、 リリーさん達と手分けする事で何とかギリギリ捌けている状況なのだが。 「お帰りー。」 レオンさんは龍王祭を勝利で終えたその日から暫く連絡もなしに姿を消し、 ひょっこり帰って来たかと思えばベッドの上から微動だにせず怠惰を貪っている。 僕達に依頼を押し付けて、だ。 「いい加減レオンさんも手伝って下さいよ。 一日に何件も依頼をこなしているせいでもうクタクタですよ。」 「は?こちとら龍王祭での功労者だぞ、もっと労れよ。」 「アンタ以外の功労者は今も人一倍働いていると思うのですがそれは。」 確かに龍王祭におけるレオンさんの働きは大きく、だからこそ強く言えないのも事実。 半分でも良いからその実績に相応しい人間性を身に付けて欲しいものである。 「さて、折角だし──────って、あれ? ここに入れてたはずなのに、無い?」 説得に応じる人ではないので早々に会話を切り上げ、甘い物でも食べて一息着こうとした。 しかし、無い。 昨日村の女の子達からお礼として貰った焼き菓子が見当たらない。 「ねぇレオンさん、ここに仕舞ってた僕の焼き菓子知らない?」 「応、素朴な味で旨かったぞ。」 「………………バスケット一杯にあったはずなんだけど?」 「意外と軽くてな、ぺろりといけたわ。 また頼むわ。」 プツン、と。 僕の中で何かが切れた音がした。 駄目だ。 もう駄目だ。 我慢の限界だ。 自分はもっと我慢強い人間かと思ってたけど、そうではなかった。 「ええ、また機会があったら貰って来ますね。」 殺そう、こいつを。 世のため人のため、何よりも僕のために。 こいつは生きていちゃいけない人間だ。 そうだ、思えば僕は何でこんな奴の弟子として日々心身をすり減らしているのだろうか。 弟子とは言うが師匠らしい手解きなんてほとんどしてもらった覚えはないし、 便利な小間使いとして雑用を押し付けられていただけだった。 なら、もう良いじゃないか。 この人の弟子になってから2年。 こいつは1年でキスティさんの弟子を卒業したんだ。 なら2倍長くやってる僕は寧ろもう卒業するべきだろう。 キスティ一門伝統の卒業試験をクリアしてな。 「じゃあ、僕明日も早いんで先に休みます。」 準備に取りかかろう。 このクソ野郎を殺すための。 ◆◆◆ 「うぃー、サガも中々良い仕事するじゃん。」 夜。 いい具合に酔っ払ったレオンハルトは、水を片手にホテルまでの帰路に着いていた。

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