35人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
チロ君との会話で、ふと、小学生の時の事を思い出す。
前のクラスは男女共に仲が良かった。みんなアダ名で呼び合って、昼休みも放課後も男女関係なく遊んでいた。運動が得意だったので、鬼ごっこや大縄跳びになると気合いが入った。
高学年になって「男子はバカだ」「女子はうるさい」と、小さな、いざこざはあったけれど、数日で解決していたように思う。
僕が鈍感だからか、男子より女子を怒らせてしまうことはあった。
一番大きかったのは、グループ日記事件だ。
交換日記のグループみたいなもので、一日にあった出来事や家での事、友達の事なんでも自由に書いて、グループ内で回す、というものだった。
僕は二つのグループから誘われた。そして、二つに参加した。しばらくして、両方のグループに掛け持ちをしていることが分かると、責められた。
―――つぐちゃんは、どっちのグループなの、と。
同じクラスなのに、両方と仲が良いと思っていた僕はその意味が分からなかった。
どっちかとしかノートは回しちゃいけなかったの、と聞くと、そーゆー意味じゃない、と怒られてしまった。
めんどくさくなった僕は、二つのグループ日記から抜けた。
二つの日記は楽しかった。
だけど、両方に属する事を彼女達は認めてくれないのだな、と思ったらいられなくなった。お互いのグループはどちらかを選んでくれればいい、と言ったのだけれど、僕にはどうしても選ぶ事が出来なかった。
みんなと仲良くしたいというのは、あまりよくないことなんだな、とうっすらと思った。
先生はよく、分け隔てなくみんなと仲良くしましょう、と言う。のに、男女別のグループを作って製作をしましょう、と言う。
ちぐはぐだ。
女の子なのに、僕って言ったら変。
スカートの下にズボンを履いて校舎に入るのはだめ。
お腹を気軽に見せてもだめ。
なのに、チロ君はそのままでもいいと言った。
……難しい。
大きいため息を吐き、肩に掛けた鞄の紐を握った。
最初のコメントを投稿しよう!