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*  入学して半月も経てば、気の合う子達でグループが出来始める。  城前小学校で生徒会長をしていたという前川さんのグループは活発な子が多く、リボンの結び方も工夫していて、ふんわりと空気を入れ、根元の部分を立体的にしている。  岸部さんのグループは絵を描き、歌が得意な文化部系の子達が集まっており、ネットやテレビ、アニメ、漫画の話で盛り上がっている。  屋島さんのグループは本を読む子が多いのか集まっているけど、同じ空間でいるのに会話もせず、静かに本を読み合っている。  僕はバレー部の子が何人か所属している、前川さんのグループに誘われた。  最初は休み時間のトイレや移動教室だった。  トイレに誘われた時は、今は行きたくないと言い、移動教室の時は場所なら分かる、と返事をして、それを繰り返すうちに徐々に誘われる回数は少なくなくなってしまった。  全部を最初から断った訳じゃなく、何回かは合わせて行った。  でも、トイレでは用を足す訳じゃなくて、他のクラスの子達と話をし、リボンの結び方を鏡の前で何度も結び直して教え合っているだけだった。だから、トイレに行く、というのはそれ以外の目的を含むのだなと知って、リボンの結び方も興味がなく、さっさとトイレを立ち去りたい僕は断る回数が増えていった。  しだいに、グループに属さない方が、居心地が良いことに気づき、体育での二人組を作る時や、美術の製作ではあまるようになった。それを心配したゆうちゃんは時々、ペアに誘ってくれたけれど、アニメが好きなゆうちゃんは岸部さんと一緒に居る時の方が、話が合うのかよく笑っていた。  クラスでひとりぼっちになるのが、怖い訳ではないけど、グループに属することが出来ない自分をどこかで感じていた。無理やり合わせようとするけど、どれもしっくり来なくて、合わせ切る事ができない。  うっかり僕と言って、前みたいに変な空気にもしたくない。
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