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 僕も苦手な人は居る。だけど、わざわざ書く事なんてしないし、誰かとその事を共有したりもしない。家で光希ちゃんに愚痴ることはあっても、次の日には忘れてしまう。なんで、人が目にしたら傷つく事を残し、グループで書き合えるのか不思議だった。 「酷くない。だって、本当の事だもん。それに本人には言ってないし、別にイジメでもない。私は悪くない」 「……そんなの、知られなければ何をしてもいいって言ってるのと一緒だよ」 「……そうだよ。自分達のグループで楽しんでるだけ。だから、いいでしょ。メッセージグループで仲間外れにしてる訳でもない。ノートに書いてるだけ。何がダメなの?」  楽しんでる。  前川さんのはっきりとした物言いに迫力を感じ、思わず身を引いてしまった。 「だ、だったら、そこに前川の名前があったらどう思うの……?」 そう言ったのはチロ君だった。 「普通にムカつく。でも、みんなやってるんだな、って安心もするかも。何で違うって言うことを違うって言って、気持ち悪いって言ったらダメなのか、分からない。だって、藤谷って変なんだもん。誘っても、グループに入らないし、いつも一人で居るし。女の子なのに、僕って言うし。それを何となく周りは、藤谷だからって、許してる。特別扱いされてる事に、気付いてないのがムカつくんだよっ!」  段々と言葉が荒くなり、前川さんは薄暗い光の中でも分かるほど、顔を赤くしていた。 「……僕、そんなつもりない。特別だなんて思ってない」 「……藤谷がそう思ってなくても、みんなはそう思ってるんだよっ!」 「み、みんなじゃないっ! そう思ってるのは、前川だけだ」  チロ君は割るように大声を出した。  前川さんに負けないようなまっ赤な顔で、言葉を繋ぐ。 「ま、前川が藤谷さんの事、羨ましいだけだっ!」  前川さんは「違うっ!」と、大声を上げ、ノートを引ったくって、僕を睨んだ。 「チロも味方に出来て良かったねっ! もう、帰るっ!」  走り去った前川さんの後を、体操服姿の二人が追いかけて行った。
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