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 次の日は、ひょっとしたら、早めに来るかもしれないと、自転車置き場に入った瞬間からキョロキョロしてしまった。  徒歩通学者に不恰好な制服の後ろ姿を探す。  教室に入り、一番に隣の席に視線を向けたけれど、不在だった。結局、マキセンが来て、またチロ君は休みをだと告げられ、ガッカリしてしまった。 「なんのために学校に来てるの? はい、岸ちゃんから」 ゆうちゃんが岸ちゃんを連れて、前川さんの机の周りに集まっている。 「私は友達に会うためかな。絵を描くのも、漫画を読むのも、音楽を聴くのも一人でできる。でも、楽しかった事を誰かに話すのは学校に来ないとできないから」 「なるほど〜。じゃあ、前ちゃんは?」 「……私?」 岸ちゃんが薄く笑って、 「まさか悪口のネタ探し?」 と、からかうと、半分怒った前川さんは、 「違うわよっ」 と、顔を背けた。  ゆうちゃんは「まーまー」と、声を出し、続けた。 「私はね、勉強するため」 前川さんは、さらに顔をしかめて「良い子ちゃんかよ」と、毒づく。 「私、勉強が面白いの。授業だけじゃなくて、知らない事を知っていくのって楽しいでしょ。だから、岸ちゃんのオススメ漫画も勉強だし、前ちゃんの、その鋭い言い方っていうかそれも、自分にはないなぁって……」  ゆうちゃんはにこにことそう言って「はい、じゃあ、前ちゃん!」と、話を振った。 「私は……、正直、学校は好きじゃない。一番になりたいし、注目されないと面白くないから。地味な私が注目集めようと思ったら、人と違ったことを言ったり、言いにくい事をいうしかないから……」 「だから、ネタ探しでしょ?」  岸ちゃんの言葉に、前川さんは唇を尖らせた。 「まあ、……ネタの出し方にも気をつけるよ」 「……じゃあ、つぐちゃんは?」 急にボールを投げられ、一瞬考える。
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